平原 健司
趣味:音楽鑑賞、家庭菜園
休日の過ごし方:土をいじっています。
15年ほど前のエピソードですが、私が勤務していた救命救急センターに高齢女性が救急搬送されてきました。やせ細りいつ最期を迎えてもおかしくない状態です。同乗の息子さん、「私は家で最期までと言いよったけど、かかりつけの先生から『点滴ぐらい受けんと、』と言われて救急車を呼びました。」私はかかりつけ医に電話し、息子さんの意思を伝えましたが「いや、点滴ぐらい・・・。」と先生。私は息子さんに入院しかないと話しましたが、「入院は絶対嫌」と意思の固い息子さん。再度先生に電話し、夜間に呼吸が止まっても先生には翌朝連絡するよう息子さんに伝えたことも含め、繰り返し説得し、ようやくご自宅に戻られることの同意を得ました。
私は30年ほど救急医療に従事しましたが、医師から人工呼吸等も含めて紹介された高齢者が、家族が到着してみると、延命治療は望んでいなかったという事例も少なからずありました。わが国では多くの人が、最期は自宅や住みなれた施設で迎えたいと希望しています。しかし、現実は病院で亡くなる方がほとんどでした。私は医療体制や医療者自身が、患者さんが望んでいる静かな死を阻害しているのではと考えるに至りました。山本巻一医師らが立ち上げた『ぶどうの木』に合流でき、その希望を適えることができるようになりました。治せるものは治し、そうでなければ穏やかに。お手伝いさせていただければ幸いです。